共有物分割請求訴訟とは

共有物分割請求訴訟とは、共有者間での共有物分割協議が整わない場合に、共有状態を解消するために分割方法を決める訴訟です

共有物分割請求が権利濫用に当たる場合やそもそも共有状態ではないといった特殊な事情がない限りは何等かの分割方法を決めることになります。

次に共有物分割請求訴訟がどのように進行するかについて説明させていただきます。

共有物分割請求訴訟といっても様々な事案があり、また裁判官によっても進め方が違ってくることはあります。しかし、これまで30件以上の共有物分割請求訴訟を行ってきた経験からだいたいこのように進行することが多いという典型的な進行状況を説明させていただきます。

訴状に記載する請求の趣旨ですが、自分の持分を現金化することを希望する場合は競売を命じる判決を求めることになります。他の共有者が持分を買い取るよう命じることはできません。

自分が他の共有者からの持分買取を希望する場合は、自分が持分を買い取る内容の全面的価格賠償を命じる判決を求めることになります。

訴状と証拠を裁判所に提出した後で裁判所が内容をチェックして、内容に問題がなければ裁判所と原告代理人弁護士との間で第1回期日を決めます。これは相手方となる被告の都合を聞きません。この第1回期日はだいたい1ヶ月後くらいに指定されます。第1回期日指定後に訴状と証拠書類を相手方となる被告に特別送達という形式で送付します。

第1回期日で相手方となった被告は答弁書を提出します。通常は請求を棄却するという内容の答弁書になっています。なお第1回期日は被告の都合を聞かずに決めているので被告側は欠席してもよいものとされています。

その後の進み方ですが、法律上は共有物分割請求訴訟は形式的形成訴訟といって、当事者の主張にとらわれずに裁判官が相当と認める分割方法を命じることができるものとされています。

しかし、実際に当事者の意向と関係なく裁判官が相当と認める分割方法を命じることは殆どないと思います。

基本的には裁判官は判決になったらこのような判決になるだろうという心証を示しながら、当事者間で分割協議が成立するかどうかを見守るというスタンスを取ることが多いように思います。協議が成立すればそれでよいものと判断します。協議が成立しそうにない場合は判決になった場合の心証(競売を命じる判決になるという心証が示されるケースが多いですが)を示しつつ協議の成立を促します。競売を避けようとする側が全面的価格賠償の要件を満たすために主張立証をする事などが考えられます。協議が成立しない場合は判決を下すことになります。

このようにできるだけ当事者間の協議に委ね、協議が成立しない場合にはやむなく判決を言い渡すというスタンスを取ることが多いことから裁判所の側から分割方法をこうすべきだとか言う事は殆どなく、形式的形成訴訟であるという法的性質論と実際の訴訟の進行状況は異なっているように思います。

この他に共有物分割請求訴訟の注意点を以下に述べます。

共有物分割請求訴訟における当事者とは

通常の訴訟では争いがある人同士で行えばよいものとされています
。 しかし共有物分割請求訴訟では共有者全員が訴訟に参加しなければいけないものと解釈されています(固有必要的共同訴訟といいます)
これは争いに関心がない共有者であっても不動産が物理的に分割されたり競売にかけられて代金分割がされたりすると争いに関心がない共有者にも影響を与えることになるからです
そのため共有物分割請求訴訟を提起した原告以外の共有者はすべて被告にする必要があります

判断能力のない共有者がいる場合の共有物分割請求訴訟

前述したように、共有物分割請求訴訟は共有者全員を当事者とする必要があることから、判断能力のない共有者がいる場合にはこの共有者も当事者とする必要があることになります。そうするとこのままでは訴訟を進行させることができないことになります。その場合の対処方法についてはこちらをご覧ください

共有物分割請求訴訟を提起する裁判所

地方裁判所

民事訴訟法の管轄の規定で、不動産に関する訴えは不動産の所在地が管轄と規定されていますので、不動産所在地の地方裁判所に訴訟提起をすることができます。
これとは別に民事訴訟法の原則で被告の住所地が管轄と規定されていますので、被告の住所地の地方裁判所に訴訟提起をすることもできます。
このように、不動産所在地、被告の住所地のどちらにも共有物分割請求訴訟の管轄がありますが、訴訟を起こす人は、この管轄の規定のうち、どちらか都合のよい地方裁判所に訴訟を起こすことができます
従って、不動産所在地が遠方であっても訴える共有者が複数いて、そのうちの1人が近くに住んでいる場合は、近くに住んでいる人の住所地を管轄する裁判所に訴訟提起をすることができます。

なお、共有物分割請求訴訟は不動産に関する訴訟ですので、金額がどれだけ小さい事件であっても簡易裁判所ではなく全て地方裁判所で訴訟提起をすることになります

裁判所への出頭の必要について

訴訟を起こした場合に、裁判所に出頭する必要があるかという質問をよく受けます。
一般的に当事者の方に民事の訴訟に出頭していただく必要がある場合というのは、事実関係に争いがあって、当事者の尋問をしないとどちらの言っていることが正しいかを判断することができない場合には尋問手続をするために裁判所に出頭していただく必要があります。
また訴訟を和解といって話し合いで解決しようとする場合で当事者の方に裁判所に出頭していただいた方が話が早いという場合にも出頭していただく必要が出てくることもあります。

ところが共有物分割請求訴訟では事実関係に争いが生じることはあまり考えられないので、尋問のために出頭してもらうということもあまり考えられません。
また、話し合いのために出頭していただくといっても、共有物分割請求訴訟の和解の場合、訴えた側の意向がそのまま通ることが多く、妥協することがあまり想定できないので、そのためにお越しいただくこともあまり考えられません。
ですので、基本的に裁判所に出頭する必要がある場合というのはあまり考えられないと理解していただいてよろしいかと思います。私もこれまでに共有物分割請求訴訟を数多く起こしていますが、当事者の方に出頭してもらったことは一度もありません。

遠方の裁判所の場合

さきほど、訴訟を起こせる裁判所は、不動産所在地の管轄裁判所か、被告住所地の管轄裁判所のどちらかであると述べましたが、どちらも遠方である場合は旅費や日当の負担がかかるという問題があります。
このような場合であっても、電話会議といって、当事者の一方が裁判所に出頭し他方が裁判所に電話をすることで裁判手続を行うという方法があります。第1回目の期日は出頭する必要がありますが、2回目以降の期日は電話会議という方法で手続を進めることができますので、日当交通費の負担を抑えることができます。
私もこれまでに北海道、東北地方、名古屋、大阪や九州地方の裁判所で共有物分割請求訴訟を提起したこともありますが、裁判所にはいずれも第1回期日のみ出頭して終了させることができました。

共有物分割請求訴訟の裁判費用について

共有物分割請求訴訟を提起するには印紙を貼る必要があります。印紙代は訴訟物の価額といって、訴訟の対象となる価額を基準に決められます。
共有物分割請求訴訟の対象となるのは不動産の共有持分なので不動産の価額ということになります。具体的には不動産の固定資産税評価額をもとにします。
まず自分の共有持分の割合に応じた固定資産税評価額を算出します。そしてこの金額を3分の1にして、土地の場合はさらにこの2分の1とします。こううして算出された訴額に対して一覧表に記載された印紙代を訴訟提起の時に納めることになります。
例えば、10万円以下の場合は1000円、90万円を越えて100万円以下の場合は1万円、950万円を越えて1000万円以下の場合は5万円などと細かく決められています。

訴訟を起こす時に依頼者の方に事前に訴状の書面を見ていただくのですが、訴状に記載された「訴訟物の価額」というのは何かと聞かれることがあります。 この訴訟物の価額というのが、ここで説明させていただいた印紙代算出のための基準となる金額です。印紙代算出の基準となるだけでそれ以上の意味は全くありません。共有持分を金銭に替えることを目的として訴訟提起をされる方の場合、この訴訟物の価額が低額であるために、心配される方もおられますが、この金額は訴訟提起で取得する代償金とは全く関係がありませんのでご安心ください。

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