(質問)共有物分割請求訴訟を提起するにはどうすればいいですか?

共有物分割請求訴訟を提起するために必要なこと

共有者間の話しあいがうまくいかない場合は共有物分割請求訴訟を提起して分割方法を決めるしかありません。
共有物分割請求訴訟を提起するのに必要なのは共有者全員を相手方(被告)としなければいけないことと、調停を先に申し立てる必要がないということです。
以下で詳しく述べます。

共有物分割請求訴訟は他の共有者全員を相手方(被告)にする必要がある

共有状態を解消するための話し合いをしている場合に、共有者が3名以上いる場合もあります。
そのような場合、共有者の中には積極的に争っている人もいれば、争いそのものに参加しない人もいます。
そうすると、共有をどうする争っている人だけで訴訟をすればよいのではないかと考えている人もいますが、共有物分割請求訴訟は共有者全員が当事者として訴訟に参加しなければ行うことができないものとされています。
そのため、共有をどうするかについて積極的に争っていない人も原告として訴訟提起をする側に加えるか被告として相手方にするかのいずれかの形で訴訟参加してもらう必要があります。
共有者の中には認知症で参加するのが難しいという方がおられることもありますが、その場合の対処方法はこちらをご覧ください。

共有物分割請求訴訟提起前に調停申立をする必要がない

離婚事件や遺留分減殺請求事件、遺留分侵害額請求事件のように最初に調停を行う必要がある事件があります。
これとは違って共有物分割請求事件では、最初に調停申立をする必要はありません。
協議が整わないことが要件となっているため、話し合いを先に行うことは要求されていますが、最初に調停を行うことまでは要求されていません。

管轄裁判所は不動産所在地の管轄裁判所か被告のうちの1名の住所地の管轄裁判所かを選ぶことができる

共有物分割請求訴訟は不動産所在地の管轄裁判所か被告の住所地の管轄裁判所のいずれかに訴訟提起をすることができます。
共有者2名の場合ですと、どちらでも変わらないように見えますが、共有者が多数いる場合では、不動産が地方にあっても共有者のうちの1名が東京に住んでいる場合は東京地方裁判所に訴訟提起をすることができます。

現金化を希望する人が訴訟提起をする場合は競売を命じる判決を請求する形となる

共有不動産の現金化を希望して共有物分割請求訴訟を提起する人の中には他の共有者に持分を買いとってもらいたいという方もおられます。
しかし、他の共有者に対して持分を買い取るよう請求することはできません。
また、共有不動産の任意売却も共有者全員の同意を前提に行うため、任意売却を請求することはできません。
よって、持分の現金化を希望して共有物分割請求訴訟を提起する場合、競売を命じる判決を求める他ないことになります。
競売だと値段が大幅に安くなるという心配をする方もおられますが、大幅に安くなることはない点についてはこちらをご覧ください。

共有物分割請求訴訟を提起して終わるまで半年から1年程度かかるのが大半

共有物分割請求訴訟を提起すると、決着するまで2、3年かかるのではないかと心配される方もおられます。
しかし、前提となる事実関係に争いがなく、共有解消の方法のみが問題となっている大半の事例では半年から1年程度で終わっています。

訴訟上の和解で解決する事例が多い

共有物分割請求訴訟を提起すると必ず判決になって競売をすることになるのではないかと思っている方もおられると思います。
たしかに当事者間の話し合いがつかなくて訴訟提起をしている訳ですが、訴訟提起をすることでどのような判決になるかの見通しがつくことから、話しあいで解決している事例が大半となります。
競売を命じる判決を求めて共有物分割請求訴訟を提起しても、実際には相手方が訴訟提起した人の持分を買い取る代償分割の和解か共同売却の和解が成立することが多く、競売を命じる判決が言い渡されるのは1割強程度となります。

著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設


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