共有物分割協議の必要性
共有関係解消をするための話し合いをすることを共有物分割協議といいます。
民法では共有物分割請求権といって共有状態を強制的に解消する方法をもうけていますが、共有物分割請求をするためには、共有物分割協議を行って協議がまとまらなかったことが必要となっています。
共有物分割協議を行ったが話し合いがまとまらなかった場合や、共有物分割協議を申し入れたものの相手から何の応答もなかった場合は、協議が調わなかったことになりますので共有物分割請求訴訟を提起することができます。
共有物分割協議の方法
法律では協議の方法についてのきまりは特に定められていません。
実際に会って協議することもあれば電話やメールでの協議も可能です。
当事者間の協議ですので、分割方法(現物分割、代金分割、代償分割)をどのようにするかは当事者の交渉で自由に決められますし、代償分割を行う場合の代償金の算出も自由に決めることができます。
共有物分割協議をする上での留意点
これまで述べたように共有物分割協議が整わなかった時に共有物分割請求訴訟を起こすことができます。
ただし、訴訟になった場合に「協議が行われていない」から訴訟を却下すべきであると主張されるおそれもありますので、協議が調わなかったことを証明するために、共有者全員に対して共有物分割協議を申し入れるという内容の内容証明郵便を送付しておくのが無難です。
共有物分割協議書
共有者間で共有物分割協議が成立したら、共有物分割協議書(合意書)を作成することが多いです。
特に代償分割を行う場合は必ず作成することになります。
代償分割を行う場合の共有物分割協議書(合意書)は、代償金額を明示するとともに、代償金の支払いと持分移転登記を同時に行うべきことを記載するのが通常です。
これに対して換価分割の場合は共有不動産を売却して持分割合に応じて代金を分配するだけですので、共有物分割協議書(合意書)を作成する必要まではないと言えます。
現物分割の場合も分筆登記を行うことになるので共有物分割協議書(合意書)を作成する必要はありません。
もっとも、換価分割や現物分割の場合であっても、共有者間で何らかの取り決めを行った方がよい場合には共有物分割協議書(合意書)を作成することもあります。
著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設
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