(質問)共有物分割請求で代償分割をする場合、代償金支払と移転登記はどのように行いますか?
(回答)
訴訟提起前であれば、不動産売買を行う場合と同様の方法で決済をするのが通常です。訴訟提起後であれば裁判所から執行文を取得する方法で代償金支払と移転登記を行うことが可能です。この方法では売主は移転登記に必要な書類を用意せずに代償金を得ることができ、買主も代償金を支払った証拠を裁判所に提出して執行文を取得すれば買主単独で移転登記をすることができます
通常の不動産売買の代金決済と同様の方法をとる場合と裁判所から執行文を取得して行う場合がある
共有物分割で代償分割をする場合に、通常の不動産売買の代金決済と同様の方法をとることができます。
それ以外には裁判所から執行文を取得して代償分割を行う方法があります。
以下で詳しく述べます。
それ以外には裁判所から執行文を取得して代償分割を行う方法があります。
以下で詳しく述べます。
通常の不動産売買の代金決済と同様の方法による代償分割
通常の不動産売買の代金決済と同様の方法をとって代償分割を行うことができます。
訴訟手続をとる前であればこの方法をとるのが一般的です。
これは司法書士と売主、買主が一同に立ち会って行います。
最初に司法書士が売主側に持分移転登記に必要な書類がそろっているかを確認します。
司法書士が書類確認後、買主が売主の指定口座に代償金の振り込みを行います。
売主が代償金の着金を確認し、その旨を買主や司法書士に伝えます。
売主が代償金の着金を確認した後は、司法書士が移転登記の手続をとることになります。
代償金の支払いと移転登記を確実に行うために有用な方法ではありますが、当事者の関係が悪化している時や、代償分割について当事者の合意がなく、強制的に代償分割を行う場合には通常の不動産売買と同様の方法をとることはできません。
その場合は、次に述べる執行文を取得して代償分割を行うことになります。
訴訟手続をとる前であればこの方法をとるのが一般的です。
これは司法書士と売主、買主が一同に立ち会って行います。
最初に司法書士が売主側に持分移転登記に必要な書類がそろっているかを確認します。
司法書士が書類確認後、買主が売主の指定口座に代償金の振り込みを行います。
売主が代償金の着金を確認し、その旨を買主や司法書士に伝えます。
売主が代償金の着金を確認した後は、司法書士が移転登記の手続をとることになります。
代償金の支払いと移転登記を確実に行うために有用な方法ではありますが、当事者の関係が悪化している時や、代償分割について当事者の合意がなく、強制的に代償分割を行う場合には通常の不動産売買と同様の方法をとることはできません。
その場合は、次に述べる執行文を取得して代償分割を行うことになります。
相手方の登記委任状が不要となる執行文による代償分割
執行文というのは、この場合は移転登記をしてよいと裁判所が認めた文書を言います。
共有物分割請求訴訟が提起されて、判決または訴訟上の和解で代償分割を行う場合に用いることができる方法です。
裁判所の判決または和解で代償分割を行う場合、代償金と引き換えに移転登記を行うと定めたり、代償金の支払を条件に移転登記をするという文言にするのが通常です。
そのような文言にしないと、代償金を支払わない状態で移転登記できることになってしまうからです。
このような代償金支払いと引き換えまたは条件で移転登記すると定めた場合、最初に代償金支払いをします。
代償金支払後、代償金支払いの証拠資料(振り込み控えなど)を添付して判決書や和解調書に執行文を付けるよう求めます。
裁判所が証拠資料から引換給付または条件となっている代償金の支払いを確認できたら、執行分を付与します。
判決書または和解調書に執行分が付けられていれば、売主の登記委任状がなくても移転登記ができるようになります。
このように執行文による移転登記が可能となるため、強制的に代償分割をすることが可能となる訳です
共有物分割請求訴訟が提起されて、判決または訴訟上の和解で代償分割を行う場合に用いることができる方法です。
裁判所の判決または和解で代償分割を行う場合、代償金と引き換えに移転登記を行うと定めたり、代償金の支払を条件に移転登記をするという文言にするのが通常です。
そのような文言にしないと、代償金を支払わない状態で移転登記できることになってしまうからです。
このような代償金支払いと引き換えまたは条件で移転登記すると定めた場合、最初に代償金支払いをします。
代償金支払後、代償金支払いの証拠資料(振り込み控えなど)を添付して判決書や和解調書に執行文を付けるよう求めます。
裁判所が証拠資料から引換給付または条件となっている代償金の支払いを確認できたら、執行分を付与します。
判決書または和解調書に執行分が付けられていれば、売主の登記委任状がなくても移転登記ができるようになります。
このように執行文による移転登記が可能となるため、強制的に代償分割をすることが可能となる訳です
共有物分割請求についてよくされる質問を記載します。
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- 不動産に抵当権が設定されていても共有物分割請求できますか?
- 共有不動産に他の共有者が居住していても共有物分割請求できますか?
- 競売手続きをとると不動産が安く売却されませんか?
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著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設