(質問)共有物分割請求訴訟を提起すると裁判所から一方的に分割方法を決められてしまうのですか?


(解説)

共有物分割請求訴訟は形式的形成訴訟と呼ばれています。これは通常の貸金返還請求訴訟とは異なり当事者の請求や主張にとらわれずれに裁判官は分割方法を決めることができるというものです。ですので理論上は裁判所は分割方法を一方的に定めることは可能ということになります。

しかし、実際には裁判所が一方的に分割方法を決めるということは殆どありません。むしろ、裁判所は判決になった場合の心証を示しつつ当事者間での合意形成を促すといった形で審理を進めることが殆どです。合意形成を促しつつ合意できない時は裁判所が判決という形で判断を下すというものです。

では心証形成や判決をする場合の判断基準ですが、持分買取を希望する場合は持分買取希望が相当か否か、そして代償金支払能力があると認められるかを調べて判断します。これらが認められれば持分買取希望者が代償金の支払いを条件に持分を取得するという判断になります。

持分買取希望者がいない場合、また持分買取希望者がいても買取の要件を満たさない場合は、現物分割が可能か否かを検討します。

現物分割もできない場合は、競売を命じる判決を下すことになります。

いくら競売を命じる判決を求めても、相手方が持分買取を希望し、持分買取の要件を満たした場合の判決は持分買取となってしまうので、その意味では一方的に分割方法を決めてしまうように見えます

しかし、これは共有物分割請求訴訟が貸金返還請求訴訟などの通常の訴訟とは違って当事者の請求や主張にとらわらずに裁判官が分割方法を決めることができるという形式的形成訴訟の性質からくるものです。

ただ実際には判決になった場合の心証を示しつつも和解を促すという審理が行われるのが通常ではあるのでそれを踏まえて共有物分割請求訴訟に臨むのがよろしいかと思います。

共有物分割請求訴訟のよくあるご質問

著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設


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