(質問)共有不動産に居住している共有者から持分割合に応じた固定資産税の負担を求められました。応じなければいけませんか?
持分割合に応じた固定資産税の負担に応じるのが原則ですが、居住している共有者から賃料の支払いがなくただで使用させているという事情がある場合には負担に応じなくてよいという結論になる可能性が高いです。
これもよく受ける相談です。
原則として、持分割合に応じた固定資産税の負担に応じる必要があることになります。
ただ、実際に多いのは、共有不動産に居住している人が居住していない共有者に対する賃料相当損害金を支払わず、固定資産税の負担も求めていないというものです。
このような状態で居住していない共有者が共有物分割請求をすると、今まで負担を求めてこなかった固定資産税の負担を求めてくるというものです。
ただ今まで、居住共有者が他の共有者に対して賃料相当損害金を支払わずに固定資産税の負担を求めてこなかったのは、共有不動産全体を使用するかわりに固定資産税をすべて負担してきたということになります。
要するに賃料相当損害金の代わりに固定資産税を負担してきたとみることができます
このような賃料相当損害金の代わりに固定資産税を負担してきた当事者の合理的意思を前提とすれば固定資産税の負担請求は認められないことになります
これまで当職は共有物分割請求をする中で、相手方から固定資産税の負担を求められてきました。当職はその度に前記の説明をし、またどうしても固定資産税の負担にこだわるのであれば逆に賃料相当損害金の請求をする、それは固定資産税の負担よりも大きくなるはずだと主張して固定資産税の負担請求を撤回させています。
共有物分割請求の関連ページ
著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設