依頼者と相手方と亡母の名義となっている不動産で共有物分割請求によって相手方に持分を買い取ってもらった事例

共有不動産 足立区にある戸建住居の土地建物 相手方が居住

これは兄弟と母親の共有名義の不動産で母親が死亡した事例です。不動産に居住していない兄が居住している弟と共同売却や持分売買の交渉をしたのですが交渉が成立しなかったため当職が共有物分割請求の依頼を受けました。
ここで問題となっているのはすでに死亡した母親の名義があることでした。母親の不動産持分について遺産分割協議は成立していません。この場合母親の持分について遺産分割協議、遺産分割調停を行い改めて共有物分割請求を行うことができますが、先に遺産分割調停を行うと手続が長期化してしまいます。このような案件で母親の持分が遺産になっていて遺産分割協議を先にしなければだめだという考えもあるのですが、本件は兄弟とも母親の死亡とは関係なく元々持分を持っているのです。そうすれば元々持分を持っていて共有物分割請求ができたのにたまたま母親が死亡したというだけで共有物分割請求ができなくなるというのはおかしいことになります。平成25年の最高裁判例も遺産による共有と普通の共有が併存している場合、共有物分割請求ができるものと判断しています。
このような考えに基づき、当職は遺産分割調停をせずに最初から共有物分割請求訴訟を提起しました。相手方は遺産分割調停を先に行うべきと主張して争ったのですが、平成25年の最高裁判例を指摘したことから裁判所が当職の主張を支持する見解を示したため、相手方が代償金を支払って当方の持分を取得するという和解が成立し、代償金を支払ってもらうことができました。
このような案件で先に遺産分割調停を行わないと駄目だと考える人も多いのですが、共有物分割請求を最初から行った方が不動産の共有関係を解消するという抜本的な解決につながるので有効だと思います。

共有者の1人が死亡したという共有不動産の共有を解消したいと考えている方はお気軽にご相談ください。

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著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設

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