高齢の依頼者がリバースモーゲージで不動産担保ローンを組んで持分を買い取った事例
共有不動産 鎌倉市の二世帯住宅の建物
これは相談者の土地上に娘婿と共有名義の二世帯住宅を建てて居住していたところ、娘と娘婿が離婚をして、共有名義の建物が残っていたという事例です。
相談者は元娘婿に対して共有持分を買い取る旨の申入をしていたのですが、元娘婿からの返答はありませんでした。
私が相談者から依頼を受けて、持分を買い取る旨の申入をし、申入に応じなければ共有物分割請求訴訟を起こして強制的に持分を買い取らせてもらう旨を通知しました。
そうしたところ、相手方から応じる旨の返答があり、相手の持分を買い取ることができました。
なお相談者は高齢であり一般的には不動産担保ローンを組むのは難しいのですが、リバースモーゲージといって高齢者が自宅を担保にローンを組む制度を利用して、持分買取資金を調達しました。
共有不動産について持分を強制的に買い取ることができるということを知っている人は非常に少ないと思います。平成8年10月31日の最高裁判例で共有物分割請求で全面的価格賠償といって共有者の1人が他の共有者の持分を全て取得し、その代わりに他の共有者に代償金を支払うことを命じることができるという判断が示されました。この判例の判断を前提にすると判例の要件を満たせば、他の共有者の持分を強制的に買い取ることができることになります。
あと買取資金の調達に悩まれている方もおられると思いますが、リバースモーゲージによる不動産担保ローンが多くの金融機関で取り入れられており、現在利用者が急増しているとの事ですので、持分買取を検討されている方は参考にされればよろしいかと思います。
【交渉で他の共有者から共有持分を買い取った解決事例】
・高齢の依頼者がリバースモーゲージで不動産担保ローンを組んで持分を買い取った事例
・判決で持分強制買取が可能であることを示すことによって、他の共有者からの持分買取に成功した事例
・依頼を受けて約2ヶ月で他の共有者から持分を買い取って単独所有となった事例
・10名以上で共有していた借地権付建物について他の共有者の持分を買い取った事例
・区分建物を兄弟2人で共有していた事案で、居住している共有者が居住していない兄の持分を買い取った事例
・兄弟間の対立で共有不動産の売却ができなかった事案で、妹の持分を買い取った事例
・兄弟で土地を共有していた事案で、共有物分割協議の申し入れで弟の持分を買い取って自己の単独所有の不動産とする形で解決した事例
【訴訟で他の共有者から共有持分を買い取った解決事例】
・持分買取業者の共有物分割請求訴訟に対して持分買取の和解を成立させた事例
・共有物分割禁止特約があることを指摘して時価より3割程度安い金額で相手の持分を買い取った事例
・互いに取得を希望していた共有不動産の取得ができた事例
・複数の共有不動産のうちの1棟の土地建物を単独取得し、他の不動産を他の共有者の共有とするという形で共有関係を解消した事例
・共有者の1人が他の兄弟との共有土地上に娘夫婦との二世帯住宅を建てている事案で共有物分割請求訴訟で他の兄弟から持分を買い取った事例
・昭和60年頃の相続不動産で相続手続をとらずに法定相続人が30名に増えた事案で共有物分割請求訴訟で他の共有者から持分を買い取り単独所有にした事例
・兄弟4名で4つの不動産を共有していた事案で、1つを依頼者単独所有とし残り3つを他の兄弟の共有とする形で解決した事例
・親子でテナントビルを共有していた事案で、共有物分割請求訴訟を提起して金融機関から融資証明書の交付を受けることによって全面的価格賠償を命じる判決を取得し依頼者の単独所有とする形で解決した事例
・自宅を建てる際に親に購入資金の一部を負担してもらい土地建物を共有していた事案で、共有物分割請求訴訟を提起して全面的価格賠償を命じる判決で親の持分を買い取って依頼者の単独所有とする形で解決した事例
著者:弁護士・福本 悦朗
東京弁護士会所属・福本法律事務所代表弁護士
共有不動産の持分売却に関して10年以上の実績を持つ。
1992年 早稲田大学卒業
1994年 司法試験合格
1997年 弁護士登録
2001年 福本法律事務所開設